仕事は母ちゃん

どーってことない脳内と日常の垂れ流しです

「反逆天使の墜落」柴門ふみ

今日は父の日ですね。息子達はすっかり忘れてた…というより「父の日」という単語すら念頭になかったようで。で、父の日だと知った四男が「お父さん、今日は俺に何してもいいよ」と言い出したので吹いてしまったさっこさんですこんにちは。夫は四男にしつこいぐらいちょっかいをかけて四男を怒らせるんですが、今日はそれを我慢してやるのが父の日のプレゼントらしい。いやいや、もうちょっとまともなこと考えようよ?母ちゃんその発想はなかったわ。

さて、そんな父の日の昼下がり、マンガ雑誌「マンガ奇想天外」を引っ張り出して読んでました。その中から柴門ふみの「反逆天使の墜落」という短編を取りあげようと思います。掲載されてるのは創刊号、発行日は昭和55年(1980年)4月15日です。1980年と言えば、柴門ふみが弘兼憲史と結婚した年ですね。

柴門ふみと言えば恋愛もののマンガで知られるところですが、この短編はかなり毛色が違います。「反逆天使の墜落」と言えば画家であるピーター・ブリューゲルの同名作品を思い出す方もいらっしゃると思いますが、表紙絵はその絵を参考にしたものになってます。

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ピーター・ブリューゲルの「反逆天使の墜落」についてはこちらをどうぞ。マンガのあらすじについてはこちらを参照してください。

よねますのこんなマンガがあった: 柴門ふみの『反逆天使の墜落』

主人公が「クリスマス・ツリー」と表現してるのは、絵の中央にある大樹のようなものなのかな?天界にある大樹。

このマンガを初めて読んだのは10代のときですが、当時は「怖い」「気味が悪い」としか思えなかった。何を言わんとしてるのかもよくわからなかったし。そして今あらためて読み直してみると、このあたりの描写が強烈に印象に残ります。

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新婚さんが描くようなマンガじゃないよなあ…。というか、この主人公とその夫は柴門ふみ本人と弘兼憲史をモデルにしてるんじゃないのかな。そう考えるとますますゾッとしてしまう。異形の者(母親)に変わってしまった自分と、そんな自分にしてしまった夫と子供への嫌悪。そして錘(おもり)である夫と子供を殺して天界に戻ろうとする。主人公にしてみたら、それは真っ当な主張であり手段なのかもしれないけど、他者から見ると家族を殺した狂人にしか見えない。その切なさ、恐ろしさ。

何故この時期にこのマンガを柴門ふみが描いたのか、そこが一番恐ろしいところかもしれません。以前紹介した新井素子の「おしまいの日」と同じものを感じました。「おしまいの日」よりはもっと抽象的でもっと残酷な描写になってますが。狂気は誰の心にも潜んでいて、何時「異形の者」になってしまうのかわからないのだなあと思わせてしまうマンガでした。