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変わろうとする父、待つ娘 - 「魔法使いの娘ニ非ズ」感想

一旦持ち直してたと思ってた風邪がまた悪化しつつあるようで鼻水が止まらないさっこさんですこんにちは。というわけで午前中済ませるはずだった用事の半分は断念。まだ月曜日だし今度の日曜日は小学校の運動会があるのだ。なんとしてでもそれまでに本調子にならなくては。

こんな体調なので今日は書くかどうか迷ってたんですが、どうしても書きたいことができたので今の感覚を忘れないうちに書いておこうと思います。それは先日最終巻が発売された「魔法使いの娘ニ非ズ」の感想です。かなり内容に触れることになるのでネタバレが嫌な方は回れ右でお願いします。

魔法使いの娘ニ非ズ (7) (ウィングス・コミックス)

魔法使いの娘ニ非ズ (7) (ウィングス・コミックス)

最初のお話である「魔法使いの娘」の感想についてはこちらをどうぞ。

というわけでざっとした最終巻のあらすじ。めっちゃ端折ってるのでできれば本編読んでくださいね。

無山の魔力を封じ込める器(鯉の形をしてるわけですが)の作成を草壁に依頼してた初音ですが、その器が出来上がるのとほぼ同じ頃に無山は交通事故に遭って魂がふたつに分裂し、別々の人形に封じられてしまいます。一体は今までの自分のままでいたい無山、もう一体は魔力を捨ててでも初音達と共に暮らしたい無山、という形で。その人形二体はある人形使いに拾われ、復讐の道具として利用されるのですが…。紆余曲折あってその人形使いは死に、人形は人形使いから開放されて無山の魂は本人の意思でまるごと器に封じ込められます。魔力だけでなく魂まるごと。そして初音は無山が自分の意思で体に戻るまで以前は無山の弟子であった夫の兵吾と共に陰陽師の仕事を続けるのでした。本当の両親である無定と晴香のように。

象徴的なのは無山の魂の入った人形が男の子の姿をしていたことです。そして変わりたいと思う無山の魂が初音を追い求めるシーンがあります。ああ、本当に無山は初音を愛しているのでしょう。でもそれは父親としてのそれではなく、おそらくは庇護者…親を慕う子供の感情と酷似してるのではないかと。そして親に愛された記憶が無いがゆえに彼は己の魔力を完全にコントロールできずにきたのかもしれません。強大な力を持った幼子。それが無山の正体。

そんな無山を初音は「待つ」と言う。まるでいなくなった我が子がいつか帰ってくる日を待つ親のように。これはあくまで私の解釈ですが、初音は無山との楽しかった思い出を無に帰すことをしたくないんだと思います。あれが全て偽りのものだと認めたくないのではないかと。認めてしまうことは昔の自分の気持ちを否定してしまうことだから。だから無山の魂が体に戻るまで待つ。本当にそんな時がくるのか、くるとしても初音が生きているうちに実現するのか。それは誰にもわかりません。それでも待つ。私が初音なら無山をとっくに見捨てていたかもしれません。

でも初音の気持ちもわからなくはないのです。初音は幼い頃に実の両親である無定と晴香を失ってからほぼ無山と共にすごしたのですが、家庭ではずっと無山の面倒を見てきました。つまり初音も親に甘えた記憶が乏しいのです。だから初音は無山という父親に甘えたい、という気持ちがあるのではないか。初音の周囲には初音を支えてくれる人達、励ましてくれる人達がいるわけですが、それでも彼らは無山の代わりにはならないのです。初音に必要なのは無山という父親、そんな気がします。だから待つ。無山が本当の父親となってくれるそのときまで。無山がそんな初音の気持ちに応えてやれたそのとき、この物語は本当に決着するのではないかと思います。

しかし兵吾はかなり損な役回りというか面倒くさい義父がふたりもいて大変そう…。まあラストで彼なりに自分の気持ちに向き合ってたみたいだけど。彼と初音との関係が変わっていく様も見たかったなと思うさっこさんなのでした。